ブロー成形について
2025.11.10
弊社ホームページをご覧いただいているお客様、初めまして!
北海化成工業株式会社の代表、加藤と申します。
弊社はブロー成形の中でもオーソドックスな「ダイレクトブロー」という製法でプラスチック製品を作っております。
弊社のホームページをご覧いただいているという事は多少なりともブロー成形に興味を持って頂いているということで
今回は
「ダイレクトブロー成形の得意な点と向いている製品、不得意な点と向いていない製品」
をご説明させていただこうと思います。
はじめに
プラスチック製品の成形方法には、射出成形・押出成形・インジェクションブロー成形など様々な方式があります。その中で、ダイレクトブロー成形(中空ブロー成形)は、ボトルやタンク、ダクトなど「中空形状の製品」を効率よく生産できる方式として広く利用されています。
ここでは、ダイレクトブロー成形の強み・向いている製品と、苦手分野・向いていない製品についてご紹介します。
ダイレクトブロー成形の得意な点
1. 中空構造の一体成形が可能
最大の特徴は、中空形状を一体で成形できることです。
内部に空間を持つボトルやタンク、ダクトなどを、溶融樹脂を金型で挟み込んで膨らませるだけで完成できるため、溶着や組み立て工程が不要です。
2. 肉厚調整が自由にできる
パリソン制御(溶融樹脂の押出し時の肉厚制御)によって、部分的に肉厚を変えることが可能です。
これにより、強度が必要な箇所は厚く、軽量化したい箇所は薄くするなど、機能とコストを両立できます。
3. 金型コストが比較的安い
射出成形に比べ、金型構造がシンプルで初期コストを抑えられます。
試作から量産までの立ち上げスピードが早く、少量多品種にも向いています。
4. 複雑な形状にも対応可能
曲がりや分岐を持つパイプ形状、グリップ付きボトルなど、複雑な外形でも対応可能です。
自動車のエアダクト、工業用フロート、農業資材などにも幅広く活用されています。
向いている製品の例
燃料タンク・オイルタンク・ウォッシャータンク
自動車用エアダクト・吸排気ダクト
工業用・農業用の中空部品(フロート、ブイ、ケース類)
洗剤・シャンプー・化粧品ボトルなどの容器類
玩具やスポーツ用品の中空部材
ダイレクトブロー成形の不得意な点
1. 寸法精度が高い製品には不向き
膨張によって成形するため、寸法公差が大きくなりやすいという特徴があります。
高精度が要求されるギア・ねじ込み部品・機械構造体などには適していません。
2. 表面仕上げ・微細ディテールに制約がある
成形時にパリソンが膨らむため、金型表面の細かい模様や文字などが転写しにくいことがあります。
高級感のある外観が求められる製品には射出成形の方が有利です。
3. 材料による制限がある
ブロー成形に向く樹脂(PE、PP、PETなど)は限られています。
エラストマーや高充填樹脂などは流動性や膨張特性の面から扱いが難しい場合があります。
4. 内部構造を持つ製品には不向き
内部に仕切りやリブ、ネジボスなどを持つような複雑な内部構造品は基本的に不可です。
その場合は、射出成形や溶着組立などの併用が必要になります。
向いていない製品の例
精密機器のハウジングやカバー類
ギア・ジョイントなどの機械要素部品
表面意匠が重要な製品(鏡面・微細パターンなど)
リブやボスを内部に持つ構造体
まとめ
ダイレクトブロー成形は、軽量・中空・一体化というキーワードに強みを持つ成形法です。
高精度や意匠性を求める部品には不向きですが、強度・コスト・生産性のバランスに優れた中空製品には最適な選択肢です。
北海化成工業では、これまでの経験を活かし、材質選定・金型設計・試作調整まで一貫対応しております。
中空ブロー製品のご相談はぜひお気軽にお問い合わせください。