「その形、作れますか?」と聞く前に知っておきたいブロー成形の制約条件
2026.03.03

「この形、ブロー成形でできますか?」
実際によくいただくご質問です。
ブロー成形は中空製品に強い成形方法ですが、万能ではありません。
設計段階で制約を理解しておくことで、
・試作のやり直しを防ぐ
・金型改修コストを抑える
・量産トラブルを減らす
ことができます。
今回は、ブロー成形で特に重要な制約条件を整理します。
① パーティングライン(型割り)の制約
ブロー成形では、金型が左右に分かれて閉じます。
そのため、必ず「型割り線(パーティングライン)」が存在します。
制約ポイント
・型が開く方向に対して“抜ける形状”であること
・横向きの突起は基本的に作れない(※特殊構造を除く)
・深いアンダーカットは不可
設計時に
どこで型を割るかを意識することが重要です。
② 肉厚は自由にコントロールできない
ブロー成形は、膨らませて形状を作ります。
そのため、肉厚は完全均一にはなりません。
起こりやすい現象
・角部は薄くなりやすい
・広がる部分は肉が引っ張られる
・深い形状ほど偏肉が出やすい
設計段階で
「絶対にこの部分は◯mm必要」という要求がある場合は要注意です。
③ 角は“シャープすぎる”と成形できない
ブロー成形は樹脂を膨らませて密着させるため、
・極端に鋭い角
・エッジの立った形状
は再現が難しくなります。
基本的には、**適度なR(丸み)**を持たせることが前提になります。
④ 深すぎる形状・細すぎるネック部
以下のような形状は難易度が上がります。
・非常に深い箱形状
・極端に細く長い首部
・大きな本体に対して極小の開口部
これは、パリソン(筒状の樹脂)が均一に伸びないためです。
⑤ 完全な寸法精度は出しにくい
ブロー成形は、射出成形と比べると
・寸法精度はやや緩め
・収縮変動の影響を受ける
という特徴があります。
嵌合部品や精密部品の場合は、
後加工や設計調整が必要になるケースもあります。
⑥ 材料による制約
例えば軟質塩ビの場合、
・高温環境には弱い
・薄肉部は柔らかくなりやすい
など、材料特性も設計に影響します。
形状だけでなく、
「どの材料で作るか」も制約条件の一部です。
では、どうすればいいのか?
制約があるからこそ重要なのは、
・早い段階で成形目線を入れること
・型割り方向を意識した設計
・必要肉厚を明確にすること
です。
図面完成後に相談するよりも、
構想段階での検討が成功率を大きく左右します。
まとめ
ブロー成形には、
・型割りの制約
・偏肉の発生
・シャープ形状の制限
・深さ・細さの限界
・寸法精度の特徴
といった条件があります。
しかしこれらは「できない理由」ではなく、
理解して設計すればクリアできるポイントです。
「その形、作れますか?」
と迷った段階が、実は一番良いタイミングです。
ダイレクトブロー成形は、軽量・中空・一体化というキーワードに強みを持つ成形法です。
高精度や意匠性を求める部品には不向きですが、強度・コスト・生産性のバランスに優れた中空製品には最適な選択肢です。
北海化成工業では、これまでの経験を活かし、材質選定・金型設計・試作調整まで一貫対応しております。
中空ブロー製品のご相談はぜひお気軽にお問い合わせください。
加藤